くりこうの手記 2024年3月

3月16日 土曜日 晴れ

メタルIP回線の時報はズレなかった

今年1月の手記に、交換電話網がメタルIP化されたら時報がズレるかもしれない、と書きました。(リンク)

2月以降に何度か、スマホのブラウザでNICTの日本標準時時計を表示させながら家の電話機で117にかけてみましたが、遅れは発生していませんでした。

テレビ放送がデジタル化(地デジ化)した当初、画面左上に時計を表示する局はありませんでした。符号化・復号化で遅延が発生し、2秒程度遅れるためです。

現在テレビで緊急地震速報を受信した場合、「テレリレン」の不気味なチャイムの前に「ポーン ポーン ポーン」と警報音が鳴り、画面上部に赤地白文字で「緊急地震速報」のテロップが表示されますが、これは通常の音声に不気味チャイムを重畳しても2秒程度遅れるため、通常の放送信号とは別の手段で警報音とテロップをテレビに表示・鳴動させているためです。
アナログ時代は、地デジで「ポーン」が鳴るタイミングで不気味チャイムが鳴り、対象地域地図が表示されていました。

現在は分が切り替わる数秒間をクロスフェードさせるなどして切り替わりの瞬間をぼかすことで、左上に時計を表示させるテレビ番組も増えています。

デジタル通信では、アナログからデジタルに符号化する際、遅延を許容する伝送路の場合(インターネット等)は伝送そのもので、最後にデジタルからアナログへ復号化する際に遅延が発生します。
なので、PSTNがメタルIP化されたら時報がズレるのではないか、と書いたのです。

インターネットは遅延を許容すると書きましたが、インターネットで時計を合わせるNTPと言うプロトコルがあります。
NTPの場合はクライアントがサーバに時刻を問い合わせる際に、クライアントがサーバに要求を送信し、応答が返ってくるまでの時間とサーバが要求を受信してクライアントに応答するまでの処理時間を計測することで、伝送遅延の影響を受けにくくしています。

仮に、時報音声を合成する装置がNTT東西に1台ずつしかないと仮定した場合、メタル収容装置より上流は遅延を許容するIP網のため、メタル収容装置のある端局から他事業者との境界に設置されるルータの直下までが全てNTT東西が掌握できる回線でなければ、遅延時間を正確に管理することはできませんし、経路的に音声合成装置から遠いメタル収容装置に接続された電話機はどうしても伝送遅延が発生します。

音声合成装置を各都道府県に1台設置するのであれば、通過するルータやスイッチも限られてくるので、遅延時間を管理することで人間がズレていると気づかない程度に収まるのではないでしょうか。

117についてここまで考えているNTTとは無関係の人間なんてごく僅かだと思いますが、職場のソフトバンクテレコム回線も117でズレは発生していないので、安心して10時打ちタイミングを音声呼出電話で流すことができます。
これについて私は必要ないと思っており、勤務表は前月25日に発表されて自分がいつ きっぷうりば担当になるのかわかっているのだから、自分の時計を正確にJSTに合わせてこいや。と言いたいけど言えない。

映画「君の名は。」について語りたい

映画「君の名は。」が劇場公開されたのは、2016年。7年以上経っています。
Bru-layを購入し、今でも年に2、3回は思い出したように鑑賞します。

映画を観たけれどわからない部分があり3回映画館で観たと言うのは、当時の手記にも書きました。(リンク)
1回目は「すごい。彗星衝突の人的被害が大幅に抑えられてよかった。三葉と瀧が再会できてよかった。」
2回目は「部室にX68000とセガサターンとドリキャスがあるじゃん。」
3回目は「3回観たのに三葉が父(町長)に避難を説得できた流れがわからん。」

3回観ても謎は解けませんでしたが、さすがに同じ映画を4回観る気にはなれず、気分転換にと買った外伝小説を読んだら、そこで初めて物語の全てのピースが揃いました。

もしも「君の名は。」を見て腑に落ちないことがあれば、外伝小説「君の名は。Another Side:Earthbound」を読むことをお勧めします。
書店にあるかどうかはわかりませんが、ISBNは978-4-04-104659-3です。

新海誠作品は「天気の子」も「すずめの戸締り」も観ましたが、妙にリアリティのある部分が興醒めし、「君の名は。」のような、何度も見たくなる衝動は起きませんでした。

特急ひだはキハ85からHC85になりましたが、飛騨古川駅に行きたいなあ。
「語りたい」と言うタイトルをつけておきながら、書きたいことはもう終わってしまった。

3月25日 月曜日 雨

牛久保駅から牛久保駅「前」に移動したトイレの話

おことわり:この項ではトイレのことを記述しています。お食事中の方は読み進めないことをお勧めします。

牛久保駅前公衆トイレ

JR飯田線牛久保駅は、旧駅舎が2023年3月17日をもって用途廃止となり、下りホーム上の余地に建てられた新駅舎に切り替えられました。
しかし、旧駅舎とは別の建物だったトイレは工事ヤード確保のため解体されたまま、建て替えられることはありませんでした。

駅のトイレがなくなり、困った利用者もいるだろうと思っていたら、通勤で牛久保駅を利用している方から「駅前駐輪場にトイレができた」という情報を得ました。
これは調べねばと思い、牛久保駅へ行ってきました。

市が管理する駐輪場にあったのは、小さなプレハブ造りの建築物と、2個のタンク。

プレハブのドアを開けて中に入ったら、確かにそれはトイレでした。
利用するにあたり誰かの許可を受ける必要はなく、料金も支払う必要がないので「公衆トイレ」です。
公衆トイレとはいうものの、一般的に「公衆トイレ」と言われてイメージするものとはたいぶ異なり、内部は木造で床はビニル系敷物で、設置からそれほど日が経っていないことを差し引いてもとても綺麗です。(内部画像1)(内部画像2)

小便器と大便器が両方備え付けられ、大便器は温水洗浄便座です。
プレハブですが、洗面台は独立して設けられています。

大便器は洋式ですが、「どうせ簡易水洗なんでしょ」と思ったら、一般的な水洗でした。

プレハブなのに水洗、かつ温水洗浄付き。
外に出てぐるりと回ってみても、電線は引き込まれていないし、水道工事した形跡も無い。
俄然、どうなっているのか知りたくなり、調べてみました。

電力については、大便器の横に電力貯蔵装置が設置してあります。
どうやら屋根の上にソーラーパネルが設置してあり、昼間発生した電力を貯蔵して電力を賄っているようです。

大便器の後ろには、見覚えのある装置が設置してありました。
汚水破砕圧送ポンプです。

私の勤務する駅の、道路からかなり離れた場所にある運転事務室のトイレは、土地が低く、下水管まで距離があります。
なので、トイレから排出された汚水を一旦タンクに受け、固形物を破砕し、ポンプで屋根上まで汲み上げてから水勾配で下水管へ送っているのです。
私が知っているメーカーはフランスのSFAです。(日本法人リンク)

プレハブの背面からは、液体用の配管が2本出ています。
汚水破砕圧送ポンプからの配管は、フローリング調ビニール床材で巻かれたタンクに入っています。
このタンクには汲み取り用の蓋と通気パイプがあります。

もう1本の配管は、黒い保温剤で巻かれたタンクに繋がれており、このタンクの直上に井戸ポンプが設置されています。
トイレを流すのに必要な水圧は、井戸ポンプで発生させているようです。

このトイレは、洗浄水の補充と汚水の汲み取りは必要ですが、太陽の光さえ十分にあれば、一定期間は外部からの水や電力の供給を必要とせず、下水道への接続も必要ない、「電力自給型水洗汲み取り式トイレ」なのです。

このトイレを構成する機器類は、すべて既存のものです。
井戸ポンプも、汚水破砕圧送ポンプも、電力貯蔵装置も、太陽光発電パネルも、市販されているものです。
しかし、それらをうまく組み合わせることで、きれいで快適で配管も配線も必要ない仮設型トイレを実現しているのです。

よく、これだけ色々なものを組み合わせてうまいこと成立させたなと思ったら、これをシステムとして販売している会社がありました。
販売元は豊川市のGテクノ株式会社、開発製造は蒲郡市の株式会社サラオです。
このシステムは「Salao」という名前でレンタル・販売されています。(リンク)

旧駅舎時代の駅トイレはJR東海が管理・維持していましたが、牛久保駅「前」に設置されたこのトイレは豊川市が管理しているようです。
市にも「駅のトイレを廃止するなんて(怒」という声が寄せられたのではないでしょうか。
何をやっているのだ鉄道事業者は。

「かもしれない」運転、「どうせ」歩き

自動車運転免許の更新へ行くと、優良運転者でも30分の講義を受けます。
その中で、毎回必ず聞かされているのではないかというのが「『だろう』運転ではなく、『かもしれない』運転をしましょう。」ということ。

自動車運転免許をお持ちの方には説明不要でしょうが、リスクと考えられる状況を認識した時「相手が止まるだろう」「向こうが気づいてくれるだろう」と自分に都合のいい解釈をするのが「だろう運転」、「突っ込んでくるかもしれない」「気づいてないかもしれない」と自分にとって危険側の解釈をしてリスク回避を図るのが「かもしれない運転」です。

春分の日を過ぎてこれから昼の時間が長くなりますが、今の季節は少し残業して帰途につくと、自宅最寄駅に到着する頃には日が暮れています。
濃色のスーツ上下に黒いコートを羽織り、黒のビジネスバッグを肩に掛けていると、自動車からは見えにくくなります。

過去に、歩道のない狭い道路を歩いていて、背面から近づいてくる車に撥ねられそうになったり、信号のある交差点で青信号を待って左側歩道を直進しようとしたら、右折ダッシュしてきた商用バンに撥ねられそうになったことがあります。

重大インシデント1件目が発生した時は、背後から来られたら避ける術がないと、クリップで留めるタイプのLEDライト(Amazonリンク)を購入。
重大インシデント2件目の後は、「前も注意を払わにゃならんのか。こっちは歩行者だぞ。」という怒りがありましたが、安全には変えられないと腕に巻くタイプのLEDライト(Amazonリンク)を購入。

私は車の運転が好きで、散歩も好きです。
免許取得から20年を超え、毎年8,000km以上運転する中で様々な運転をするドライバーを見てきました。

なので「歩道のある道路の右側を歩行中。10m先右側のコンビニの駐車場から、左折合図を出して車が横断歩道を横切ろうとしている。」という状況であれば、「どうせ右から来る車のことしか見ていない。歩行者がいるなんて考えてないだろう。」と判断し、ドライバーが自分の存在に気づくことを視認するまでは歩みを遅くし、車の手前で止まります。

また「歩道があり、中央分離帯の無い道路の左側を歩行中。左側のパチンコ屋の駐車場の出入口前を通過しようとしている。自分と同じ方向に進む自動車はまばら、対向車線は割と車が多い。」という状況であれば、「どうせパチンカスは歩道に歩行者がいるかもなんて危険予知ができない。対向車がノーウインカーのショートカット走法で突っ込んでくるかもしれない。」と判断し、対向車線の自動車の動きに注意を払います。

これが私の「どうせ」歩きです。
「どうせドライバーは歩行者のことなんて見てないし考えてない」という観点で危険予知を行い、置かれた状況で発生しうる最悪の状況を考えながら、それによって発生する危険を回避する歩き方をしています。

歩いている時がこんななので、ハンドルを握る時の9割はぼっちの自動車運転時も「どうせ」運転をするだけの精神的余裕があります。
例えば自転車を追い抜いた後に交差点を左折するときは、「どうせ車のウインカーなんて見ていない」と考え、左ドアミラーの注視割合を高めます。

歩行者側が「どうせ」歩きをしなければならないような状況を作る自己中ドライバーは、公道から排除されるべきです。
免許更新の時にフリップを見せて「この状況で何に気をつけるか」の危険予知問題を解けなかったら有償講習を受け、3回落ちたら免許取消くらいにしていいんじゃないでしょうか。

運転免許を剥奪される(というか免許を持たせたら危ないから取り上げられる)人が増えれば、公共交通についての議論が進むのではないでしょうか。

ブースターケーブル、3度目の活躍

2003年夏にデミオ(DY型)を買って1年後くらいに、カー用品店でブースターケーブルを買いました。
「大は小を兼ねる」という考えから、小型トラックまで対応できる100Aタイプで、長さ5mのものを選びました。

1回目の活躍は、デミオに乗っていた頃のはずです。
高校からの友人が、豊橋市内のコンビニでバッテリ上がりを起こしてしまい、救援しました。

2回目の活躍は、特殊小型船舶操縦免許を取得するための技能講習を受けた帰りです。
立ち寄ったコンビニで窓を全開にしてコーヒーを飲んでいたら、停止前からエンジンを切ったRVRが停まり、しばらくしてファミリーが戻ってくるとセルの回転が弱くてエンジンが始動できない。
停止前からエンジンを切っていたのは、「切った」のではなく「切れた」だったのか。それでもジャンピングしてエンジンを始動し、ケーブルを外してもエンストしなかったのでオルタネータ周りの不具合ではなかったようです。

そして土曜日。
家でこの手記を書いていると、隣からエンジンを始動できない弱々しいセル回転音。
初めは空耳かと思いまたが、3分おきくらいにエンジン始動を試みている音がするので、これはもう間違いないと。

お隣さんといっても、私の家と隣の家の境界が町内会の境界でもあり、普段顔を合わせることもないのでどんな人かも知りません。
しかし、困っている人がいて、自分が困りごとを解決できる可能性があり、特段することもないので、知らんぷりはできない。
駐車場に入って行ったら、隣の家の子でした。

バッテリー、上がっちゃっとるね。と声をかけ、急いどらんならジャンプしようかと尋ねると、ジャンピングを依頼されました。
家に戻り、運転免許証を携帯し、mazda3を被救援車の前に付けました。
こちらがボンネットを開け、ブースターケーブルを引っ張り出す時間があってもボンネットを開けられずにいたので、ハンドルの右下にあるレバーを引かないと開けられないよと助言。

無事に両車のボンネットが開いたところで、ケーブルの接続です。
これには安全に接続するための順序があります。

  1. 故障車のバッテリのプラス端子に赤ケーブルを接続する
  2. 赤ケーブルの他端を救援車のバッテリのプラス端子に接続する
  3. 救援車のバッテリのマイナス端子に黒ケーブルを接続する
  4. 黒ケーブルの他端を故障車のバッテリからできるだけ離れた金属部分に接続する

手順4で故障車バッテリのマイナス端子に接続しないのには理由があります。

バッテリ、特にエンジンを始動できないほどに弱ったバッテリの内部からは可燃性のガスが発生します。
手順4の実行時に故障車と救援車の間で回路が完成しますが、その時点で故障車のバッテリと救援車のバッテリには電位差があるため、火花が飛ぶことがあります。

この火花が可燃性ガスに引火すると、最悪バッテリが爆発してバッテリ液が飛散します。
バッテリ液は硫酸です。
目に入れば最悪の場合失明しますし、皮膚に付着すれば化学火傷を起こします。
昨年秋の3連休最終日、東北新幹線で硫酸が漏洩して怪我人が発生し、新幹線の運行が終日大混乱になったのは記憶に新しいところです。(NHK記事)

なので、火花が飛んでも引火しないようにバッテリからできるだけ離れており、かつ確実にボディアースに接続されている金属部分に接続するのです。
今回はエンジンマウントに接続しましたが、ボルトの頭を掴むのに難儀しました。
外す時にエンジンルームを軽く見回したら、オルタネータの調整ステーが取り付けやすそうな形状でした。

接続が済めば後は簡単です。
故障車はイグニッションをオフにし、室内灯を含む灯火類は全て消します。
救援車はエンジンを始動し、ハイアイドル(およそ2000rpm)を維持してオルタネータの発電量を上げます。
その状態で5分間充電を行い、ハイアイドルを解除しジャンプしたままの状態で故障車のエンジン始動を試みます。
故障車のエンジンが始動したら、接続とは逆の手順でブースターケーブルを取り外します。

エンジンがかかったら、できれば1時間ほど走行し、できなければ1時間ほどアイドリングして補充電します。
一度でも上がったバッテリはかなり傷んでいるので、信頼できる技術者にバッテリの劣化具合を判定したもらうと安全です。
「バッテリ上げてしまったので診断して欲しい」と言っているのに、診断機を接続することなく「一度でも上げたバッテリは交換が必要」と言われたら無意味に高価なバッテリを押し付けようとされている可能性が高いので注意しましょう。
アイドリングストップ車はバッテリの値段を聞いて腰を抜かすかもしれませんが、そういうものです。
間違ってもアイドリングストップ「非対応」のバッテリに交換してはいけません。アイドリングストップするとそのままエンジン再始動不能になる恐れがあります。