くりこうの手記 2024年4月

4月8日 月曜日 曇り一時雨

やるじゃんウチのFAX

昨年6月、父の名義で敷設しているメタル電話回線にナンバーディスプレイを契約しました。(当時の手記リンク)

工事完了後、家の電話機(FAX)の設定を変更し、電話帳に登録してある電話番号からの着信であればベルを、非登録電話番号からの着信はメロディが流れるようにしました。

これで家の電話からメロディが流れても誰も電話を取らなくなりましたが、どうせ取らない着信ならいっそのことメロディもならないようにできないか。

設定画面の深い階層まで降りて行っても、設定項目名からどのように振る舞いが変わるのかいまいちわからず、1年近くそのままにしていました。

取扱説明書がなければ設定は無理だと思っていましたが、今どき説明書くらいWebで公開しているだろうと思い、メーカーサイトで型番検索したら無事に説明書のPDFファイルをダウンロードできました。

設定を変更しては自分のスマホから184をつけて発信したり、MacBookからSkypeで発信したりして、ついに「非通知設定の着信は拒否する。電話帳未登録の番号からは着信音を出さずに留守番電話で受ける。」という動作をさせることに成功しました。

パナソニックの2009年発売のFAXでできるので、それ以降に発売されたFAXや多機能電話機であれば同じような設定ができるのではないでしょうか。
パナソニックのFAXの場合は

と設定すると、先に述べた動作をするようになります。
気をつけなければならないのは、着信があると全てFAXがオフフックして相手電話番号によって動作を決めるため、電話帳に登録している番号からの着信は電話に出られなかった場合でも相手に通話料が発生します。

今となってはたいていの用件は直接携帯電話にかけることがほとんどでしょうから、大きな問題になることはないと思います。

10年以上前に発売されたFAXでも、ナンバーディスプレイと組み合わせると相手によって振る舞いを変えることが、ここまで細かく設定できるのかと感心しました。
やるじゃんウチのFAX。

しれっと施行された法律にヤバみを感じる件について

2024年4月1日、報道されることもなく「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」(e-Govリンク)がしれっと施行されました。

あまりに長いのでこの項では「マイナンバー口座管理法」としますが、この法律、危険な臭いがします。

デジタル庁による概要(リンク)によれば、この法律は預金や貯金をしている人が、その預貯金を預けている金融機関に、口座番号をマイナンバーにより管理されることを希望する旨の申し出をすることができるとしています。

金融機関にマイナンバーを提供すると、預金保険機構にマイナンバーと預貯金者本人を特定する情報が通知されます。
預金保険機構は預金保険法第二条第一項各号に掲げる者(国内のほぼ全ての金融機関)に対しお尋ね者通知を出し、その通知に合致する人物の口座が存在した場合は、当該金融機関はその口座をマイナンバーと紐付け、いつでも照会できるよう管理しなければなりません。

金融機関にマイナンバーを提供した人が死亡し、相続が発生することになった場合、相続人は金融機関に正当な相続人であることの確認を受けることによって、死亡した人(被相続人)が保有していた全ての金融機関の口座情報が通知されます。

注:預金保険機構とは、金融機関が破綻した際に預貯金資産の一部を保障する法人で、政府も出資しています。

これだけ見れば、隠し口座も漏れなく相続できるので後になって血で血を洗う相続抗争が避けられてめでたしめでたし なのですが。

被相続人が隠し口座を持っていた事が明るみになるとするのならば、こんなことが起こると考えられないでしょうか。

Aさんは父が死亡し、母、祖父、祖母はすでに故人で兄弟姉妹はいないので、父の唯一の相続人となりました。

父は幾ばくかの預金を残していました。
預金残高は相続税の基礎控除額に満たなかったので、Aさんのものになりました。
葬儀やら何やらはその預金を崩して済ませました。

それからおよそ1年後、税務署から封書が届きました。
封を開けると、父には隠し口座があったことと、その口座に7億円が預けられており6億7000万円を課税遺産とみなすので、2億9650万円の相続税と無申告加算税を納税せよ と書かれた紙が入っていました。

Aさんには隠し口座の存在は知らされていませんでした。
なのに、どうして税務署がAさんの父の隠し口座の存在を知っていたのでしょうか。

あんたYouTubeの見過ぎじゃない?と言われるかもしれません。

マイナンバー口座管理法にざっと目を通した限りでは、現時点では相続税の取りはぐれを防ぐためにマイナンバーを使用するとは書かれていません。

しかし、マイナンバー口座管理法には

(報告又は資料の提出)
第二十条 行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、金融機関に対しその業務に関して報告又は資料の提出を求めることができる。

という条文があります。

ひとまず今回はマイナンバーにその人の全ての預金口座を紐付けし、ゆくゆくは別の法律等で国が個人の全ての預金口座を掌握できるようにしよう。
そう考えていてもおかしくありません。

マイナンバー口座管理法では、金融機関は手続きをする預貯金者に対して、マイナンバーを提供することの意思の有無を確認することと明記されています。(第三条2項)

一方、預貯金者に関しては、「個人番号を利用して管理することを希望する場合は(中略)申し出をすることができる。」と書かれています。

もしもあなたが、金融機関に赴いて口座開設手続きを行うとしたら、きっと金融機関からは「マイナンバーカードをお持ちですか?」と尋ねられるでしょう。
「はい。」と答えたら、何かゴニョゴニョと難しい言葉を並べ、マイナンバーカードを提出するよう迫られるでしょう。

ここでマイナンバーカードを出したら、それが「個人番号を利用して管理することを希望する」意思と捉えられます。きっと。

マイナンバー口座管理法には、マイナンバーの提出は預貯金者の義務とは一言も書かれていませんし、金融機関に対しては「預貯金者に対し(中略)個人番号を利用して管理することを承諾するかどうかを確認しなければならない。」と書かれています。

しかし、政府機関がマイナンバー取得率が高い金融機関にアメを与えるとか、逆に取得率が低い金融機関に何かしらの不都合を突きつける可能性は往々にあります。

金融機関が血眼になって預貯金者のマイナンバーを取得しようとするのは間違いないでしょう。

金融機関で「マイナンバーカードをお持ちですか?」と聞かれたら、キッパリと「個人番号で口座管理される意思は無い。」と言いましょう。
それで嫌がらせを受けたり、不利な扱いを受けたのであれば、無料法律相談に行っていいですよ。内輪機関の全国銀行協会相談室が当てになるとは思えません。

マイナンバー口座管理法には現在のところ、国が個人の金融機関口座情報をマイナンバーから芋づる式に辿る手段についての規定はありません。
でも、よく思い出してください。
マイナポイント第二弾で「災害等で被災した際に給付金を受け取る金融機関口座」をマイナンバーに紐付けしませんでしたか。
私はしていませんが。

国が国民の預貯金資産を丸裸にすることは、条件によりますが「技術的には」現時点で可能なのです。

こんな法律が施行されたにもかかわらずテレビで報道されたところを見たことは無く、この法律が成立した2021年に報道があった記憶もありません。
この頃はまだ新型コロナウイルス感染症の影響が強く、ニュースでは「今日の感染者数」が都道府県別で報じられていたはずです。

「マスコミは信用できない」とSNSで叫ばれていますが、マスコミが国民に不都合な事実を報道しないということが現実味を帯びて感じられます。
国境なき記者団が発表する、報道の自由度ランキングの2023年版では日本は68位。G7ではぶっちぎりの最下位です。
民主党政権だった2010年は11位でした。

私たちは何を信用すればいいのでしょうか。
次の選挙で自民党にNOを突きつけなければ、きっとこの国は終わります。
パー券キックバック額が500万円未満の議員は「金額が小さい」からお咎めなしなんてありえない。
個人的にれいわ新選組を支持しようとは思いませんが、「国会議員が裏金500万円まで免責されるなら、一般の方々も500万円未満は免税にならなければバランスが取れない」という山本太郎の言い分はもっともです。

次の国政選挙は、選挙権を放棄するなんてありえません。
自民党の誰かが言ったと報道されたじゃないですか。「国民は選挙に行かなくていい。家でテレビでも見ていろ。」と。
つまり選挙に行く国民が減れば、相対的に固定票の割合が高くなるから、自民党が勝つということです。
自民党にNOを。自民党政治にピリオドを。
「失われた3年」を10年以上掛けても戻せなかった集団に、この国の舵取りを任せる訳にはいかないのです。
日経平均株価が過去最高値を更新したところで、国民の生活は苦しいまま。アベノミクスはごく一握りの資本家をウハウハさせるために大多数の国民を苦しめてきたのです。
シャンパンタワー理論(トリクルダウン理論)が間違っていたことは、大多数の国民が身をもって痛感しています。

あなたはそれでも、次の国政選挙で選挙権を放棄するのですか。
もし、きちんと選挙権を行使していたのなら、ごめんなさい。

最後に欅坂46の「サイレントマジョリティー」の歌詞の一部を引用してこの項を終わります。

どこかの国の大統領が 言っていた(曲解して)
声を上げない者たちは 賛成していると
選べることが大事なんだ
人に任せるな
行動しなければ Noと伝わらない