最終更新日:2025年4月11日
ポケコンとは、ポケットコンピュータの略です。
工業高校生のタフな使い方に耐え、標準学生服のズボンの横ポケットならギリギリ何とか入りそうなサイズの筐体、QWETYキーボードとテンキー、モノクロ液晶画面を持ち、乾電池で長時間稼働し、BASICでプログラミングができ、工業高校向けならば入出力ポートも備えています。
2000年代前半(2000-2004年)までの工業高校では、小型コンピュータによる自動制御として、現代ならばワンボードマイコンのArduinoやRaspberry Piなどで行うことをポケコンで行っていました。
では、なぜArduinoやRaspberry Piを使わないのか?
それは2000年代前半にはArduinoやRaspberry Piは存在しなかったからです。(Arduinoの登場が2005年、Raspberry Piの登場は2012年)
ポケコンはそれ一台でプログラミングから入出力まで完結し、乾電池で動作するコンピュータです。
Arduinoは開発環境であるArduino IDEを実行するパソコンが別に必要で、Raspberry Piはモニタ、マウス、キーボードが必要です。
また、Arduinoが登場する以前から、PICやH8といったワンチップマイコンは存在しました。
しかしそれらは開発環境が動作するパソコンの他に、アセンブルやコンパイルで生成された実行コードを書き込む「ライタ」と呼ばれる専用装置が必要で、高校の授業で扱うには敷居が高かったのです。
今のように「一人一台、マイコンをプログラムでき、USBポートを備えたタブレット・ノートパソコンを持たせる」ことが非現実的だった時代、BASICプログラミングに対応し、CMOSレベルの入出力ポートを備えるポケコンは、当時は現実的な選択肢だったのです。