人間の目は二つあります。あるものをじっと見るとき、右目と左目の視線はその「もの」で交わります。この時、右目の画像と左目の画像は少し違うのです。この違いから立体を認識するのです。
絵が下手なのは重々承知しているので突っ込まないでください。
人間と猫と木が1コマ目のように並んでいるとします。この様子を上から眺めたのが2コマ目。
3コマ目では人間が目からビームを出しているように見えますが、視線ということにしておいてください。3コマ目では、人間の視線は猫に合っています。そのあと視線は、交差して木を貫いています。
4コマ目では視線は木に向いています。猫を通過する時点では、両目の視線は交わっていません。
人間の目は、複数のモノに同時に視線を合わせることはできません。両目の視線が交わるところは、必ず一点なのです。
そして、視線が交わっていない部分は、右目と左目で見え方が異なります。この「見え方の差」を脳が演算して、遠近感を感じているのです。
写真に立体感が無い理由、もうわかりましたよね?
写真では、遠くの被写体も近くの被写体も、1枚の印画紙に焼き付けられているために、あくまでも「景色が映っている紙」でしかないのです。右目と左目で、同じ1枚の写真を見ていては、遠近感が出るはずがありません。
それならばということで、「右目で見た風景の画像」と「左目で見た風景の画像」を別々に用意したのが「ステレオ写真」とか「ステレオグラム」と呼ばれるものです。
ステレオ写真は、右目視点と左目視点から撮影した2枚の写真を使って、遠近感を持たせた写真です。ステレオグラムは、幾何学的な模様の中に図形を埋め込み、イラストが浮き上がったり凹んだりして見えるようにしてモノです。
さて、「右目で見た風景の画像」と「左目で見た風景の画像」を用意すればステレオ写真になると説明しましたが、実は越えなければならない壁があります。練習によって大抵の方が越えられる壁なので心配しないでください。
道具を使わずにステレオ写真を見る方法、すなわち裸眼立体視は「平行法」と「交差法」の2通りがあります。簡単に説明します。
平行法は、「右目で見た風景の画像」を右に置き、「左目で見た風景の画像」を左に置く方法です。
立体視した時の見え方が交差法よりも自然ですが、難易度が高く、画像の幅も制限されます。
さらっとやり方を説明すると、2枚の画像を置いて視線を「仮想像」と書いてある場所に合わせます。これは、できない人はどんなに練習してもできないらしいです。
交差法は、「右目で見た風景の画像」を左に置き、「左目で見た風景の画像」を右に置く方法です。
平行法と比較して難易度が低い他、大きな画像でも立体視できるという特徴を持っています。ただし、「寄り目」を持続させるため、疲れます。
簡単にやり方を説明すると、2枚の画像を置いて視線を「仮想像」と書いてある場所に合わせます。仮想像が画像の手前にあるため、指などを使って視線を誘導することができます。
それでは、交差法で立体視する練習をしてみましょう。
それでは練習してみましょう。このサイトでは交差法の画像しか扱わないので、交差法の練習しか書きません。
この練習は慣れるまでは目を酷使するので、ほどほどにしてください。
まず、下の画像の矢印と自分の体の中心を合わせます。以下、順に従ってください。
今度は難易度を上げます。
実際のステレオ写真では2枚並んだ画像を寄せなければなりません。幅を広げ、補助線も消しました。また、1台のカメラによる撮影ではどうしても「ずれ」が発生するため、これも再現しました。
この練習は、練習1よりもさらに疲れます。疲れを感じたら、直ちに中止してください。
では、次の順に従い練習してください。ディスプレイから離れた方が簡単にできます。
練習2ができれば、もう何も怖くありません。実際の画像を使って挑戦してみましょう。方法は、練習2と同じです。
オマケ:左右の画像を入れ替えるだけで、交差法・平行法の入れ替えができます。また、レイヤーを分けていれば自筆イラストも簡単に立体化できます。実証画像はここ。