最終更新日:2021年8月29日
私は、まだガラケーを使っていた頃、列車内でガラケーを使ってポケットにしまったつもりが、列車の中に落としてしまったことがあります。
その時は、慌てず騒がず近くのネットカフェへ行き(当時はネットカフェ利用に会員登録は不要だった)、キャリアのWebサイトから位置情報を検索したら列車の中だったので、私はここアラームを鳴らしました。
結果、善意ある方に拾得していただき、列車の終着駅に届け出られていたので、取りに行きことなきを得ました。
完璧な人間はいません。
忘れ物や落とし物をすることもあるでしょう。
鉄道施設内で忘れ物や落とし物をした場合に、どうすれば見つけられるのか。
万が一、忘れたり落としたりした場合に、どうすれば手元に帰ってくる可能性を上げることができるのかについてお話しします。
注:本項以降、特に断りのない場合は、JR東海の取り扱いを説明します。
駅や列車内で、利用者や駅員や乗務員に拾得された落とし物や忘れ物(以後「遺失物」という。)は、駅に届けられます。
利用者が車掌に届けた場合は、車掌が駅に引き継ぎます。
駅には、遺失物システムが備えられ、遺失物を一定期間保管したのち警察署へ届け出る「取集駅」、遺失物システムは備えるものの遺失物は取集駅に送付する「遺失物システム配備非取集駅」、遺失物システムがなく遺失物を取集駅に送付する「非取集駅」があります。
取集駅と遺失物システム配備非取集駅では、届出られた遺失物について、拾得された場所や種類、特徴などを遺失物システムに入力します。
2021年2月から稼働を開始した新システムでは、遺失物の画像を撮影することができるようになりました。
落とし物や忘れ物をした方(以後「遺失者」という。)は画像を閲覧することはできませんが、遺失者からの問い合わせに対して、これまで以上に的確に回答できるようになりました。
遺失物システム配備非取集駅では、届出られた遺失物の情報を遺失物システムに登録し、定期的に運行される事業用品運送トラック便にて遺失物を取集駅に送付します。
非取集駅では、届出られた遺失物の情報をFAXで取集駅に転送し、取集駅はFAXの情報を遺失物システムに登録します。
遺失物は、定期的に運行される事業用品運送トラック便にて取集駅に送付します。
遺失物の情報が遺失物システムに登録されると、取集駅や遺失物システム配備非取集駅、テレフォンセンターなどで、遺失者からの捜索依頼を受け検索できる状態になります。
駅に届け出られてから数日から1週間程度経過しても遺失者が判明しない遺失物は、警察署に移管します。
一部駅においては、かさ類の遺失物は拾得の事実を警察署に届け出、その翌日から2週間は駅で保管し、それ以後は売却する取扱いを行なっています。
遺失物は、遺失物システムに登録されることで遺失者からの問い合わせに回答できる状態になります。
しかし、遺失物が所有者の手を離れてからすぐにシステムに登録されるとは限りません。
例えば、飯田線の豊橋駅を17時57分発の水窪行き(545M)で遺失物が発見された場合。
この列車は水窪(無人駅)に到着すると、回送列車となって中部天竜へ行きますが、中部天竜の営業時間は終了しているため、遺失物は車掌が保管します。
翌朝、水窪5時48分発の512Mの車掌に忘れ物が引き継がれますが、この列車は豊橋に到着するとトンボ返しで豊川行きになり、車掌も交代せず豊川へ行きます。
そして豊川から帰ってきて初めて、車掌は遺失物を豊橋駅の改札に引き継ぎます。
545Mの最初の停車駅は小坂井で、18:04(発)。
ここで忘れ物に気付いても、その忘れ物があるのか、ないのかはっきりするのは、12時間以上経過してからになります。
また、飯田線の豊橋行きの列車で、豊橋駅到着後車庫(豊橋運輸区)に入る列車は、車掌か清掃係員が車内点検を行います。
ここで見落とされた遺失物は豊橋運輸区入庫後の念入りな清掃で発見されますが、運輸区で発見された遺失物が豊橋駅に届けられるのは翌日の午後になるため、さらに時間がかかります。
遺失物の情報が遺失物システムに登録されると、システムによる検索ができる状態になります。
自分の遺失物が遺失物システムに登録されているか否か確認する方法は
があります。
その場で結果が判明するのは、1,2,4です。
おすすめは4のお忘れ物チャットサービスです。
LINEに似たユーザインタフェースで、質問に対して選択式や記入式で回答していくと、その時点で遺失物システムにそれらしき遺失物があるか否か判明します。
また、チャットはコンピュータが対応するため、オペレータと話すのが苦手という方でも問題ありません。
JR東海テレフォンセンターの電話番号や、お忘れ物お問い合わせフォーム、お忘れ物チャットサービス(お忘れ物お問い合わせフォームの画面内にあります)は、パソコン・スマホ共通で
JR東海トップ(リンク) > 鉄道のご利用について > お忘れ物に関するご案内
にあります。
遺失物を問い合わせ、その場では見つからなかった場合も、そこで諦めてはいけません。
前項で紹介したいずれの手段においても、「こういうものを探しているお客さまがいる」という情報は遺失物システムに登録され、毎日深夜にホストコンピュータが登録された遺失物との突合を行なっています。
自分が落としたと思った場所とは違う場所で発見されたとか、何者かの手によって場所が移動されていたという場合でも、特徴が合致する遺失物があればシステムは「これ、違います?」と問い返してきます。
システムが「かもしれない物件」を発見するまで2,3日かかる場合もあるので、落とした、問い合わせた、無かった という場合でも、数日は様子を見てください。
システムが候補を拾い出し、人の目で「これは捜索されている遺失物の可能性がある」と判断すれば、電話で連絡されます。
また、遺失物を拾った人(以後「拾得者」)が、駅ではなく警察に届けている場合があります。(特に無人駅が多いローカル線や、駅の敷地外に落ちていた場合など)
警察に届けられた場合はJR東海の遺失物システムでは探すことができないため、警視庁や道府県の警察本部のウェブページにある落とし物・忘れ物検索フォームでも検索してみてください。
遺失物が見つかった場合、その遺失物を遺失者に返還する方法は、以下の二つです。
注意点としては、
取りに行く場合、電車賃など一切の費用は遺失者負担となること。また、本人確認書類の提示が必要なこと。
着払いの場合、発送後の事故(破損など)はJRは関知しないこと。
です。
なお、取りに行く場合で、遺失者本人の都合がつかず代理人を立てる場合は、委任状(様式は任意)が必要です。
鉄道利用者や通行人が発見し、駅に落とし物・忘れ物として届けられる遺失物は、ほとんどの場合「拾得者の権利を放棄する」として受理されます。
しかし、遺失物法第28条では、「物件(誤って占有した他人の物を除く。)の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格(第九条第一項若しくは第二項又は第二十条第一項若しくは第二項の規定により売却された物件にあっては、当該売却による代金の額)の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。」とされています。
裏返して言えば、拾得者は、遺失者に対し報労金を請求する権利を有します。
大抵の拾得者はこの権利を放棄します。
しかし、法で認められた権利であるため、この権利を行使する拾得者もいます。
遺失物の拾得者がこの権利の行使を宣言した場合(権利を放棄することを明言せず、氏名及び連絡先を駅員等に伝えた場合を含む)は、遺失者に拾得者の氏名と連絡先が通知され、遺失者と拾得者が直接報労金の交渉を行うことになります。
鉄道事業者や警察は、遺失物を遺失者に返還するまでが業務ですので、遺失者と拾得者の間で紛争が発生しても関知しません。
最近よくあるのが、スマホのGPS機能で「この列車のどこかにある。」という部分まで判明する場合。
床や座席の上、窓枠など、見つけやすい場所にあり、大まかな乗車位置が分かれば「この列車の大体この辺にある。」という情報で捜索し、発見できる場合もあります。
しかし、8両編成で、乗っていた場所も覚えていない、座席と壁の隙間に落としたかもしれない、終着駅の折り返し時間が5分しかない といった状況下では、「この列車のどこかにある。」という情報では探しようがありません。
これは、AirTagに代表される紛失防止タグで場所が特定できた場合も同じです。
「この列車のどこかにある」までしかわからない場合は、車両が車両区に戻りメンテナンスを受けるまで捜索することはできません。
この場合、発見にはスマホの場合で数日以上かかります。
iOS/iPadOS端末であれば「iPhoneを探す」、Android端末であれば「Googleデバイスを探す」。
「iPhoneを探す」は、パソコンや他のスマホなどから、https://www.icloud.com/find/にアクセスし、Apple IDとパスワードを入力。
2ファクタ認証画面になったら、下部の「すぐにアクセス - iPhoneを探す」をクリック。
「Googleデバイスを探す」は、パソコンや他のスマホなどから、https://www.google.com/android/find/にアクセスし、Googleアカウントでログイン。
どちらも、デバイスの電源が入っていて携帯電話網に接続しており、GPSの電波が入る場所であれば
といったことができます。
当然ながら、iCloudやGoogleのアカウントIDとパスワードがわからなければ、実行することはできません。
最低限、自分の使っているデバイスの属するアカウントのIDとパスワード、紛失時にアクセスするウェブサイトのURLは暗唱できるようにしましょう。
デバイスをロックしメッセージを表示させる場合は、自分の名前と、拾得者は近くの警察か駅員に届けるよう依頼する文を載せましょう。
かつて拾われてきたスマホのメッセージに「拾った方は○○駅に届けてください。電話は午前10時から10時30分の間にしてください。」と書かれており、どちらも無理な注文だったため、駅では何もせず警察署へ移管したことがあります。
駅員は、遺失物の取扱のみを行なっているのではありません。今、目の前にいるお客さまへの対応が最優先されます。
東京・名古屋・新大阪の各駅には遺失物専属の係員がいますが、あまりにも遺失物が多いため、注文が多いメッセージに対応できる余裕はありません。
一言でいえば「ユニーク化する」です。
一般的に日本語で「ユニーク」とは、「独特な」と言った意味で使われますが、コンピュータ関連や元来の英語では「唯一の」とか「他に類がない」と言った意味を持ちます。
スマートフォンは、工業的に大量生産されている機械です。
ケースなどで出荷時とは異なる特徴を持たされている場合もありますが、遺失物捜索ではケース程度では「ユニーク化」しているとまでは言えず、断定できない場合があります。
私の場合は、透明な嵌め込み式ケースに、透明白文字のラベルに「kurikou -who couldn't become a motorman-」と印刷したものを貼り付け、さらに名前(本名)とスマホの電話番号をQRコード®にしたものを貼り付けています。
ここまですれば、同じことをする人は他にいないでしょう。
ハンドルネームや個人情報を載せたQRコードを貼るのは抵抗を持つ方もいると思います。
要は、複数の特徴を組み合わせることで、この世に同じものが二つと存在しないユニーク化ができればいいのです。
私は車掌の時に痛風発作を起こし、それ以来nalgeneの広口1.0L Tritanという水筒を愛用しています。
これには名前ラベルを貼っているのですが、お陰で公園のトイレに忘れた時も、列車の中に忘れた時も、5回以上私の手を離れていますが全て私の元に帰ってきています。
持ち物に名前を書くというのは、とても大切なことなのです。
注:「QRコード」は、デンソーウェーブの登録商標です。