ドアの数と座席配列

ドアの数と座席配列

普段鉄道を利用する時に、1両あたり出入口がどれだけ有るかなんて、気にも留めないと思います。ところが、注意して乗っているとバリエーションがあって面白いものです。

ドアの数も1から6までありますが、座席配列もいろいろあります。説明すれば誰でも分かる「ロングシート」「転換クロスシート」の他にも、セミクロスとか固定クロスとかL/Cとか、特殊な例を挙げて行けばキリがありません。

ドアの数を数えてみる

取りあえず下のイラストを見てください。イラストなのでバランスは適当です。物理的にドアが開かない状況になるものも有りますが、気にしないでください。

ドア数

上2つは豊橋で見ることのできる車両です。3つ目は独断で選んだ常磐快速線の103系、最後は首都圏でしか見られない車両です。

2ドアですが、デッキ無しで2ドアなのは珍しい部類です。名古屋圏の車両ではイラストの117系の他には名鉄5700/5300系があるくらいです。特性としてはドアが少ないので座席は増えますが、ラッシュ時は乗降に時間がかかります。停車駅が少ない快速などに適していると言えましょう。

3ドアは名古屋圏では一般的です。名鉄も通勤向け車両は全て3ドア、JR東海の標準電車313系も3ドアです。出入口が増えたことで、ラッシュでも詰まりがありません。座席配列もクロスシートからロングシートまで、どんな配列でもソツなくこなします。

首都圏や近畿圏では人がとても多いので、4ドア車がたくさん走っています。座席配列はロングシートです。

とっておきは6ドア。山手線、京浜東北線、中央・総武線でしか見ることができません。ここまで来るとやりすぎの感もあります。車体長に対してドア開口部の比が非常に高いです。座席配列はロングシートですが、朝のラッシュが終わるまで折り畳まれており「座席無し」と言う壮絶な車両です。もっとも、すべての車両が6ドアなのではなく、1編成の中で2両程度がこの車両です。

ここでは紹介しなかった1ドアと5ドアですが、1ドアは国鉄特急形車両や500系新幹線の先頭車など、5ドアは京阪で採用例があります。

椅子の並べ方

今度は椅子の並べ方を見てみましょう。

大別すると、線路に平行でベンチのような「ロングシート」と、進行方向に向かって(または後ろ向きで)座る「クロスシート」があります。まずロングシートとクロスシートのうち座席が動かせない固定クロスシートを見ることにします。

座席配置

ロングシートはおなじみですね。通勤路線はこればかりです。立つことのできる床面積が最も広く、他の方式より遥かに多くの人を乗せることができます。

固定クロスシートは名古屋圏ではあまり見ません。ボックスシートは国鉄急行形と呼ばれる車両で盛んに用いられました。

集団見合い型は中間に1カ所だけボックスシートができてグループにも対応できますが、見知らぬ人と視線が交差する面もあります。京急2000形の改造前はこれでした。

集団離反型は他人と視線が交差しませんが、前向きに座れるのは前半分だけなので狭く感じます。新幹線100系初期車の3人がけシートがこれでした。

セミクロスシートは、ドア周辺がロングシートでそれに挟まれるように固定クロスシートを配した方式です。画像では固定クロス部分がボックスシートですが、名鉄では固定クロス部分が集団離反型の車両もあります。

次は椅子が動くクロスシートを見てみましょう。

転換クロスと回転クロス

転換クロスは名古屋圏では一般的なものです。背もたれが前後に動くことで向きを変えることができます。座る面も、背もたれに連動して動くものがほとんどです。JR東海313系の転換クロスシートは、肩から上の部分も連動して動きます。背もたれを薄くしても快適性を維持できます。

回転クロスは特急などで多く見られます。椅子が丸ごと回転する方式です。大抵は座席下の通路側にあるペダルを踏むことで回転できますが、「背もたれを前に倒したまま回す」などの方式もあります。

どちらの方式も、自動で転換や回転させる機能を持つものがあります。転換クロスでは京急2100形、回転クロスでは名鉄2200系特別車などがあります。

特殊な座席配列

では、変わった座席配列を2例紹介します。

まずは近鉄L/Cカー。ぱっと見た目は回転クロスシートですが、背中を窓に向けた状態で固定しロングシートとしても使えます。

単に回転を固定しただけでは、背もたれと壁の間に隙間ができます。そこで、椅子を壁に寄せるように移動できるようにしています。回転クロスモードでは座席下のペダルを踏めば誰でも座席を回転できますが、手動でロングシートモードにはできません。逆にロングシートモードではペダルが収納され、座席を動かすことはできません。

L/Cカーと名鉄折衷シート

最後に紹介するのは名鉄の通勤車で増えているロング転換クロス同居シート。

近鉄L/Cカーのように全ての座席をロングシート/クロスシートにするのではなく、ロングシートと転換クロスシートを同居させる方法です。

セミクロスシートと言えないことも無いでしょうが、そうやって紹介するサイトを見たことはありません。セミクロスシートはあくまでも固定クロスシートがロングシートに挟まれているものを指すのです。

名鉄のこのシートは、ドアを境にロングシートと転換クロスシートが切り替わります。