途中下車とはなんじゃらほい?

最終更新日:2019年7月27日

「途中下車」と聞いて思いつくこと

「途中下車」と書いて、とちゅうげしゃ と読みます。
なんて書くと「そのくらい知っとるわ」と怒られてしまいそうです。

「途中下車」と聞いて、思いつくことはなんですか?

よく、ぶらり途中下車の旅なんてタイトルのテレビ番組やっていますね。
あの手の番組では、思いつきで列車を降りていますが、きっぷはどうしてるんだろう?と思ったことはありませんか。

よく使う、「●●→xxx円区間」と書かれた小さいきっぷの場合、手前の駅で降りる場合はきっぷは回収されてしまい、残った部分は無効になってしまいます。
例えば、JR東海道線で豊橋から名古屋まで行く場合、「豊橋→1320円区間」のきっぷを買いますが、思いつきで刈谷で降りる場合、刈谷から名古屋までの部分は無効になり、きっぷは回収されてしまいます。

では、ぶらり途中下車の旅ではどうしているのでしょうか。
学校が長期休業する時期には、1日乗り放題の「青春18きっぷ」がありますが、使える時期が限定されます。
私鉄であれば「1日フリー乗車券」の類を使えば乗り降り自由ですが、「1日フリー乗車券」の設定がない鉄道会社ではどうにもなりません。

鉄道会社による「途中下車」の定義とは

そもそも「途中下車」とはなんなのでしょうか。

JR東海ウェブサイトの「きっぷのルール」に、途中下車という用語の定義が記されています。

「途中下車」とは、旅行途中(乗車券の区間内)の駅でいったん改札口の外に出ることをいいます。

これだけでは分かりにくいと思いますが、例えば先の例で、列車に乗車中に急にトイレに行きたくなり、乗っていた列車がちょうど刈谷に到着するところだったので、列車を降りて駅のトイレに駆け込んだ。
というのは、改札口を出ていないので途中下車にはなりません。

また、「きっぷのルール」は次のように続いています。

次の例外を除き、乗車券は、後戻りしない限り何回でも途中下車することができます。

●片道の営業キロが100キロまでの普通乗車券
●大都市近郊区間内のみをご利用の場合の普通乗車券
●回数券
●一部のお得なきっぷ
●特急券、急行券、グリーン券、寝台券、指定席券、乗車整理券、ライナー券

おっと。「乗車券は例外を除き何回でも途中下車することができます。」と書いてあるではありませんか。

ただ、その「例外」が問題なのです。
●片道の営業キロが100キロまでの普通乗車券

例えば豊橋から営業キロが100キロを超える駅は、名古屋方面は岐阜、浜松方面は用宗、豊川方面は温田です。
このような長距離の乗車券を買うことは、それほどないのではないでしょうか。

実際のきっぷを見てみると

では、実際のきっぷにはどう表記されているのでしょうか。
金額式の近距離きっぷと、長距離のきっぷを見てみます。

近距離きっぷと長距離のきっぷ

函館から200円で行けるのは、隣の五稜郭駅までです。
なぜ五稜郭なのか、なぜ函館で改札機を通しているのにそのきっぷが手元にあるのか、きっぷのルールに詳しい方なら「そういうことね。」とうなずくでしょう。

滝川から網走、地理に詳しくない方は「どこなのそれ」状態だと思います。
乱暴な説明をすると、滝川は札幌と旭川の間、網走は北海道の右側に突き出ている2つの半島の上側の知床半島の付け根より少し北です。

このきっぷで移動している途中、旭川駅で途中下車して丸亀製麺でうどんを食べました。

長距離を移動するなら通しのきっぷを買うのがお得

例えば、豊橋から新幹線で東京へ行き、秋葉原をブラブラしてから山手線で上野へ行き、上野から新幹線に乗って仙台へ行き、七夕祭りを堪能してから仙石線で日本三景の松島(最寄駅は松島海岸)へ行く場合。
乗車券は「豊橋→松島海岸」を買えば、途中下車できます。

これを、「豊橋→[区]東京都区内」、「東京→秋葉原」、「秋葉原→[仙]仙台市内」、「仙台→松島海岸」と区切って買うと、かなり高くなります。

ただ、間違えてはいけないのは、「途中下車できるのは普通乗車券のみ」ということです。
豊橋から東京へ行くのに浜松で途中下車してうなぎを食べる場合、乗車券は「豊橋→[区]東京都区内」と通しの乗車券を買えばいいですが、新幹線特急券は「豊橋→浜松」、「浜松→東京・品川」と区切って買う必要があります。

特急券は途中下車できないので、特急券を「豊橋→東京・品川」と通しで買ってしまうと、浜松で途中下車するときに回収されてしまいます。

話は逸れますが、乗車券は営業キロに応じて有効期間が長くなるので、先の「豊橋→松島」の乗車券の場合、仙台で七夕祭りを見て一泊し、翌日に松島へ行く ということもできます。

時間とお金に余裕があれば、列車で長距離を旅するのも悪くないですよ。
ただし、青春18きっぷの時期は18キッパーがうようよしているのでお勧めできません。
まあ、特急に乗ってしまえば18キッパーにエンカウントすることはないのですけどね。

私鉄は途中下車を認めていない場合が多い

ここまでJRのルールに則って説明してきましたが、私鉄は途中下車を認めないケースが多いようです。

端から端まで乗っても営業キロが100キロに満たない豊橋鉄道渥美線は、下車前途無効です。

名鉄は豊橋から名古屋本線・犬山線・各務原線を経由して岐阜へ行けば営業キロが100キロを超えますが、途中下車はできません。

箱根登山鉄道は、かつて温泉利用客への配慮から距離に関係なく途中下車可、有効期間2日間でしたが、パスネット導入に伴い購入当日限り有効の下車前途無効になりました。