改良型USBシリアルコンバータ

最終更新日:2016年3月9日

改良型USBシリアルコンバータ

概要

前作「USBシリアルコンバータ」は、FTDI社のUSB-シリアル変換IC、FT232RLを用いてパソコンとポケコンを接続しました。

しかし、FT232RLの負論理(H=0V L=5V)とポケコンの正論理(H=5V L=0V)を合わせるためにNOT理論素子(インバータIC)を使用したため、回路が複雑になりジャンパを大量に飛ばす事になりました。

ところがFT232RLはプログラミング可能なICで、論理反転を内部処理できる事がわかりました。これにより、インバータICを廃し、単純にピン配列の組み替えのみでパソコンとポケコンを接続できる事になります。

FT232RLの設定についてはKazuchi Softwareの「ポケコン資料室 ポケコン用USBシリアルインターフェイス制作1-5」を参考にさせて頂きました。同サイトの管理人Rupis氏に、この場を借りてお礼申し上げます。

ここで使用しているストロベリー・リナックス社のFT232RXは、細かな部品はハンダ付けされた状態で出荷されるので、高度なハンダ付け技術は要求されません。

材料

USBシリアル変換モジュール ストロベリー・リナックス社
FT232RL USBシリアル変換モジュールキット「FT232RX」
注文番号#50025
1,580円
ピンヘッダ 2.54mmピッチ、1x11ピン、L型 50円
ピンソケット 2.54mmピッチ、2x10ピン 50円
ユニバーサル基板 2.54mmピッチ サンハヤトICB-288など 70円
すずメッキ線 その気になれば部品の足切れでも代用できます

価格は参考程度にとどめてください。場所によって大きく異なります。(2006年通販サイトで調査)

USBシリアル変換モジュールの組み立て

USBシリアル変換モジュール完成写真

組み立てる前に必ず、基板のやすりがけをしてください。ガラス繊維が手に刺さります。外周すべてに丁寧にやすりがけしてください。

やすりがけが終わったら、まずVCCIOの設定を行います。基板上の5V側のランドをハンダでショートさせます。画像は旧型のため、ジャンパを飛ばしています。

ピンヘッダはUSBコネクタ側に取り付けます。

このキットはICとチップ部品は予めハンダづけされているため、ピンヘッダとUSBコネクタの取り付けのみで完成します。

組み立てが終わったら、パソコンと接続してドライバをインストールします。

ドライバのインストール

FT232RLはWHQL認証を受けているため、ドライバは自動的にダウンロードできます。

Windows XPの場合

パソコンにFT232RXを接続します。しばらくするとウィザードが始まるので、「はい、今回のみ接続します」を選んで「次へ」をクリック。

ウィザード

次の画面では「ソフトウェアを自動的にインストールする(推奨)」を選んで「次へ」をクリックします。

ウィザード

「完了しました」となりますが、もう一度ウィザードが始まります。異常ではないので、再度「はい、今回のみ接続します」「ソフトウエアを自動的にインストールする」の順に選びます。2度目のウイザードが終了すれば、ドライバのインストールは完了です。

ウィザード

Windows vista,7の場合

バソコンにFT232RXを接続すると、下の画面が表示されます。「ドライバソフトウエアを検索してインストールします(推奨)」をクリックします。

ウィザード

少し時間が掛かりますが、数分以内にインストールが完了します。

Windows10の場合

パソコンにFT232RXを接続すると、下の画面が表示されます。自動的にインストールされるため、しばらく待ちます。

ウィザード

ドライバがインストールできたら、いよいよ基板を作成します。

ユニバーサル基板の配線

USBシリアルコンバータ回路図

回路図というよりは、単なる配線図ですね。部品面から見た配線です。

赤い部分はジャンパ、オレンジのピンは1番ピンです。

以下に製作例を掲載します。

おもて

画像の基板は再利用品のため、ジャンパが斜めに飛んでいる場所もありますが、気にしないで下さい。

ハンダ付けが終わったら、回路図と実物を付き合わせて間違いがないことを確認してください。

間違いがなければ、完成した基板にFT232RXを接続して完成です。

パソコンの通信設定

パソコンに改良型USBシリアルコンバータを接続して、デバイスマネージャを表示させます。

Windows XPでは、マイコンピュータを右クリックし、プロパティをクリックします。「システムのプロパティ」ウインドウが開くので、「ハードウエア」タブをクリックします。画面が切り替わったら、「デバイスマネージャボタン」をクリックしてください。

システムのプロパティウインドウ

Vista,7では、スタートメニュー内の「コンピュータ」を右クリックし「プロパティ」をクリック。「システム」ウインドウが開くので、「デバイスマネージャ」をクリックします。

システムウインドウ

10では、スタートメニューの中の「設定」をクリックし、出てきたウインドウの「システム」をクリック。
左下にある「バージョン情報」をクリックし、右側をスクロールして下の方にある「デバイスマネージャ」をクリックします。

システムの設定ウインドウ

デバイスマネージャが開いたら、「ポート(COMとLPT)」の中にある「USB Serial Port(COMx)」をダブルクリックします。

デバイスマネージャ

「USB Serial Port(COMx)のプロパティ」が開くので、「ポートの設定」タブをクリックし、「詳細設定...」ボタンをクリックしてください。

COMポートのプロパティ

「COMxの詳細設定」ウインドウが開きます。COMポート番号を「COM1からCOM4の間で(使用中)になっていない番号」を選択してください。 COMポート番号は後で使うので覚えておいてください。

COM1からCOM4まですべて(使用中)になっている場合の対処法は後述します。

COMポートの詳細設定

COMポートが占有されている場合

すでにUSBシリアル変換機や携帯電話ケーブルを使っていると、COM1からCOM4まで空きがない場合があります。

COMポートとは何ら関係なさそうなものでも、内部的に仮想的なCOMポートを介して接続しているものがあるので、それらのポート番号を変更するか、不可能であればそれらのドライバを削除します。

詳しくはこのページを見て下さい。

FT232RLの動作条件変更

FT232RLは標準では負論理のため、これを正論理に変更します。内蔵EEPROMに動作条件を書き込むだけで正論理になります。

FTDI社のwebサイトから、EEPROM書き換えツール「FT_PROG」をダウンロードします。

FTDI社サイトの左にあるナビゲーションをSupport --> Utilitiesの順にクリックしてページを下に辿っていけば「FT_PROG」が見つかるはずです。

ダウンロードしたプログラムはzipで圧縮されているので解凍し、インストーラを実行してインストールして下さい。

インストールが終わったら、早速FT_PROGを立ち上げます。
パソコンに改良型USBシリアルコンバータが接続されているのを確認して、虫眼鏡アイコンをクリックします。

FT_PROG起動後の画面

FT232RLから、EEPROMの内容が読み込まれ、画面に表示されます。

左側のDevice Treeの中の "Hardware Specific" を[+]を押して展開し、"Invert RS232 Signals"をクリックします。

次は右側の上、Propertyの中にある
Invert TXD
Invert RXD
Invert RTS#
Invert CTS#
のチェックを入れ、稲妻アイコンをクリックします。

設定変更の仕方

別ウインドウが開くので、右下のProgramボタンを押します。
ウインドウ左下のステータス欄に "Finished Programming" と表示されたことを確認して、ウインドウを閉じます。

FT_PROGの作業はこれで終わりなので、終了します。

書き込み画面

ここで確認です。改良型USBシリアルコンバータに割り当てられたCOMポート番号は覚えていますか?
忘れてしまったり、控えていない場合は、デバイスマネージャで調べて下さい。

COMポート番号を確認したら、一度、改良型USBシリアルコンバータをパソコンから取り外し、10秒待って再度パソコンに接続します。
パソコンは、EEPROMを書き換えたFT232RLを別デバイスと認識するため、再度ドライバがインストールされます。

「新しいハードウエアは使用可能です」というポップアップが表示されたら、再度デバイスマネージャを開き、割り当てられたCOMポート番号を確認して下さい。
前に確認した番号とは別の番号が割り当てられているはずです。

そこで、COMポート番号を、控えておいた番号に変更します。
(使用中)は気にしてはいけません。
変更後に「OK」をクリックすると、「既に使用されているので不具合が...」と警告が出ますが、構わず変更して下さい。

お疲れさまでした。これで峠を越えました。
あとはこんなに面倒な作業はありません。気を楽にして続きの作業へ進んで下さい。

ポケコンの通信設定

ポケコンの[TEXT]ボタンを押して、テキストエディタを呼び出します。

*** TEXT EDITOR ***
Edit Del Print Sio File Basic Rfile

この画面になったら、S、F、リターンと押してください。通信条件の設定になります。以下のように設定してください。上下キーで項目移動、左右キーで選択しリターンで決定です。選択したあと上下キーで移動すると元の値に戻ってしまいます。選択したら必ずリターンを押してください。

ただし、end of fileのみ、キーボードで「いち エー」と入力してリターンを押してください。

baud rate =9600 data bit =8 stop bit =1 parity =none end of line =CR LF end of file =1A <--キーボードで直接入力 line number =yes flow =RS/CS

設定できたら、最後にリターンを押してからONを押して設定から抜け、電源を切っておきましょう。次はパソコンの設定です。

PC-Gリンクのダウンロード

ここまでくれば、HyperTerminalやTera Termなどのターミナルソフトでパソコンとポケコンで通信できます。しかしターミナルソフトでは扱いづらい面もあるので、シャープ株式会社が提供している専用ソフトを利用しましょう。

あらかじめ断っておきます。くりこうのホームページはシャープ株式会社より許諾を受け、PC-Gリンクを掲載しています。PC-Gリンクを同社の許可無く転載することは禁止されています。Readme.txtには「転載の際に許可を取る必要は無い」と言う旨の記述がありますが、これは誤記との事です。

PC-Gリンクをダウンロードする(LHA形式1120kB)

ダウンロードしたらインストールも行ってください。スタートメニューからPC-Gリンクを起動します。

起動したら、PC-Gリンクの通信設定をします。通信メニューから「COMポートの設定」をクリックしてください。

ポートの設定は、デバイスマネージャで設定したCOMポート番号を選択します。

以下、通信速度は9600、ワード長は8、ストップビットは1、パリティはnone、区切りコードはCR LF、フロー制御はRS/CS、テキスト終了コードは1A(いち エー)に設定し、OKをクリックします。

このソフトはわかりやすいのでこれ以上の説明はいらないと思いますが、ポケコンからパソコンへ送る場合はPC-Gリンクの受信ボタンをクリックし、ポケコンのテキストエディタのトップメニューからS、Sと押します。

パソコンからポケコンへ送る場合はポケコンのテキストエディタのトップメニューからS、Lと押しておいてから、PC-Gリンクの送信ボタンをクリックします。

BASICプログラムとTEXTデータの相互変換

ポケコンのテキストエディタで送受信できるのは、テキストエリアのデータのみです。BASICプログラムを送受信する場合は、テキストデータとBASICプログラムを相互に変換する必要があります。

BASICからTEXTへの変換

  1. BASICプログラムをプログラムデータエリアに用意します
  2. テキストエディタのメインメニューからB、Tとキーを押します
  3. 変換されたデータがテキストエリアに書き込まれます

TEXTからBASICへの変換

  1. テキストエリアにテキスト化されたBASICプログラムを用意します
  2. テキストエディタのメインメニューからB、Bとキーを押します
  3. 中間コード化された実行可能なBASICプログラムがプログラムデータエリアに書き込まれます

詳しくは、「ポケコンとパソコンのシリアル通信 > BASICプログラムを転送しよう」をご覧ください。